「私は洗濯物についてです。長袖のシャツで片方の袖だけ裏返っていると、洗濯しづらいので、気をつけてほしいと。彼からは、『家にいるときはそんなに掃除しないで、ゆっくり休んでほしい』と言われました。彼がいても無心で、ただ集中して掃除をするので、それが、怖いんじゃないですか(笑い)。あと、家にいるとき、私がずっと動いているので、彼も自分もやらなきゃっていうプレッシャーがあるのかな、って」

 松本選手は仲の良い両親の元、5人きょうだいの4番目として生まれた。にぎやかな家族を母がとりまとめ、父は優しかったが、一歩外に出ると母はどんなときも父を立てていた。そんな姿が松本選手の原体験なのかもしれない。

 まもなくやってくる年末年始。若い夫婦の間では、強い嫁が台頭し、夫と妻がそれぞれの実家に帰ることも珍しくなくなってきている。古風な松本選手ならば当然、夫について夫の実家に帰るかと思いきや、「それぞれの実家で過ごす」と意外な答え。その理由は驚くべきものだった。

「結婚式の相談のためにそれぞれに実家に帰ります。挙式は考えていますが、両家の親のために行うものだと思っています。私たちが楽しんでもしかたがないので、両親にいちばん喜んでもらう形をとりたいんです。去年は練習で実家に帰れなかったので、お正月は別々に実家に帰って相談しようと思います」

 何度も新婚らしいエピソードを聞き出そうとしたが、本人は「記事にならないことばかりですみません」と恐縮しきりだった。だが、デートについて聞くと「映画館にはよく行きます!」と顔をほころばせた。

「最近は、『君の名は。』を見ました。彼は2回泣いたって言うんですけど、私は、え?って感じでした。周りもすごく泣いていましたが、全然わかりませんでした(笑い)」

 そう話す彼女の腕には『ティファニー』の腕時計が光っていた。とても大切にしているという時計の文字盤のピンクが、今の気分を物語っているようだった。

※女性セブン2016年12月8日号

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