1年生になったら友達100人できるかな、と幼い頃に歌ったあの曲のように、友達は多い方がいいに決まっている--誰もが、そう思って生きて来たはずだ。友達がいないと孤独だし、そもそも友達が少ない人はどこか人間として欠陥があるかのように思われるのではないか、そんな思いにとらわれてきた人もいるかもしれない。
超高齢社会のなかで、他者とのつながりが認知症予防にもなるとの研究もあり、そうした考えは一層強固なものになっている。そんななか、なぜタモリの言葉に賛同の声が相次ぐのか。橋田さんは、タモリの言葉に共感する理由をこう明かす。
「しんどいですもん。心にもないことを言わなきゃならない友達ばっかりで、ほんとの友達がいないから。みんなお義理です。これで仕事をしなくなったら誰も私のところなんか来ませんよ。裏切られるのがわかってるから、最初から深くつきあわないの」
でも、ちょっと待ってほしい。橋田さんといえば、固い絆で結ばれた泉ピン子(69才)がいるはず。『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)をはじめ、橋田ドラマには必ず顔を出すばかりか、プライベートでも橋田さんと同じ熱海に居を移し、世界一周の船旅に同行するほどの間柄だ。
橋田さんが89才の時に「ママはもう90なんだから」と終活をすすめたのも彼女だし、佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』をプレゼントしたのもピン子。そんな彼女でさえ友達ではない、というのだろうか。
「ピン子は全くもって仕事上のおつきあいです。もしものときも、見送ってもらうつもりなんか全然ありません」
橋田さんはそうばっさり切り捨てた。しかし少しだけ寂しい表情を浮かべながら、こうも続けた。
「不幸だといえば不幸かもしれませんねぇ。“あんなにいっぱい、いい友達が周りにいるのに、誰も信用してないなんて、なんて不幸で嫌な人間なんだ”と言われても仕方ありません。でも、本当にありがたいとは思いますけど、他人には全く期待はしてないんです」
※女性セブン2017年2月2日号