そこで注目されるのが、宮内庁の河相周夫侍従長だ。天皇皇后両陛下を担当する侍従セクションのトップである河相は外務省出身で、民主党政権下の2010年1月に内閣官房副長官補に就任。野田首相にも1年間仕えた後、外務事務次官に栄転した。いわば野田によって外務省事務方トップに押し上げてもらった人物である。

 ところが野田政権が倒れて安倍が政権に返り咲くと、翌年6月に河相はお役御免となった。次官在職わずか9か月での退任は事実上の更迭と受け止められた。

 その後民間企業の顧問を経て2014年に宮内庁に入った河相は、2015年5月から侍従長を務めている。いわば、天皇皇后両陛下に最も近い役職についたのである。

 こうした経緯から、野田は自ら外務次官に抜擢した河相から今なお情報を得ているのではないかという憶測が止まないのである。

 さらに昨年12月暮れから今年にかけて陛下のご学友である明石元詔氏ら3人が、相次いで「特例法でなく恒久法での譲位実現」が陛下のご意向と述べ、政府方針に真っ向から異を唱えた。陛下のご発言やご意向が証言として表に出るのは極めて異例だ。

 しかも恒久制度にするには皇室典範の改正が避けて通れない。野田の主張を補強するかのようなこれらの証言もまた、侍従職の調整を経て公表されたものとみられている。

 官邸が「パンドラの箱」と恐れる皇室典範改正を、野田があくまで主張する背景には、「陛下のご意向」を錦の御旗に安倍政権を土台から揺さぶるという「倒閣」のにおいを嗅ぎ取る関係者は少なくない。憶測に一定の信憑性を与えているのが、安倍によって更迭された河相の存在なのである。

 さらにもう一つ、ごく一部関係者の間で「きな臭い」噂として流布されているのが、韓国ファクターである。

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