芸能

松方弘樹 大御所スターでありながら「可愛い後輩」だった

「大御所」のもう1つの顔とは

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、2017年1月21日に脳リンパ腫で亡くなった、故・松方弘樹さんが、かつて共演した大御所俳優について語った言葉をお届けする。

 * * *
 松方弘樹が亡くなった。本連載には2014年7月にご登場、その後も2015年2月に本誌で対談をさせていただいた。

 その対談では共演されてきた名優たちとのエピソードをうかがっている。中でも熱く語っていたのが、鶴田浩二。若手時代に数々の任侠映画で共演してきただけでなく、晩年にはソックリな芝居をするほど、彼に多大な影響を与えた往年のスターだ。

「鶴田のおっさんには可愛がってもらいましたね。東映に入ったのは僕が先で、おっさんは松竹、東宝を経て東映に来ました。大泉(東映東京撮影所)の僕の控え室にいきなり入ってきたんです。『ワシに似ている松方っていうのは、どいつや』って。

 実は、僕が一番最初に映画出演したのが中学一年の時で、鶴田のおっさんの少年時代の役だったんです。それをおっさんも覚えていて、『あの子供がなあ。ワシも老けるわけやな』とか言っていました。とにかく、おっさんは芝居が上手い。それから、男の哀愁や色気が凄くある。

 あと、あのセリフの覚え方は異常でしたね。あんなにセリフの覚えがイイ人は見たことがない。錦兄(萬屋錦之介)の場合は風呂場にセリフを書いた紙を貼って覚えようとしているのを見たことがあるけど、おっさんは勉強している姿を見たことがない。いつもスタッフを連れて飲み歩いていて。それなのに、現場では相手のセリフまで全て覚えているんです。

 晩年も僕の主演作の『修羅の群れ』や『最後の博徒』にお付き合いいただきましたが、あの時もいろいろと教えてくれました。『もうちょっと間を持て』『そこはもっと溜めろ』って。

 おっさんは石原裕次郎さんと相前後して亡くなりましたけど、世間の評価がね。芝居から言ったら、問題にならないくらい、おっさんが遥かに上手いです」

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン