第1回でも、杉内俊哉(36、巨人)が前年の18勝4敗から7勝5敗へ、渡辺俊介(当時ロッテ)が同じく15勝4敗から5勝11敗へと、WBC開けのシーズンで明らかに数字を落とした。
「今回は、先発に中継ぎとフル回転での起用が予定される則本昂大(26、楽天)が心配です。入団以降、毎年200イニング近く投げ続けているので、WBCからフル稼働して、シーズンを通して投げられるかどうか」(同前)
国際試合に適応しようとする工夫が、国内試合に戻った時に弊害となるケースもある。
各投手がWBC公式球への対応に苦慮する中、小久保ジャパンのエースと目される菅野智之(27、巨人)は例年より速いペースで調整し、海外の強打者用にチェンジアップを習得した。ところが、400勝投手の金田正一氏は、「それが危ない」と警鐘を鳴らす。
「チェンジアップはピッチャーにとって“麻薬”です。ストレートと同じ腕の振りで、スピードも軌道も違う球になるので、“現代の魔球”とも呼ばれるが、チェンジアップは要は“抜く”球。一度抜くことを覚えると楽をしてしまうし、手が肘より先に出て球の出所が判りやすくなるうえに、フォームを崩しやすい。メジャーで活躍する田中将大(28、ヤンキース)も、故障を機にチェンジアップを投げなくなった。巨人の内海哲也(34)がダメになったのもチェンジアップが原因だよ」
海外の強打者対策に取り組むことで、自らの投手生命を縮めかねないという。
※週刊ポスト2017年3月17日号