佐藤さんは、この一連の出来事を『ふたりのせかいりょこう』(祥伝社)という一冊の本にまとめた。協力者が撮影した写真の中にはイタリア行きの機内で、サッカーの長友佑都選手(30才)や本田圭佑選手(30才)と姉妹人形の4ショットもある。偶然一緒になった協力者がその場で趣旨を説明し、快諾した2人と、仲よく写真に収まったのだ。

「長友さんは偶然にも奥さまのお名前が同じ『愛梨』さんで、親近感を感じてしまいました。また、石巻には本田さんの支援で寄贈されたフットサルコートがあって、珠莉は今、そこでサッカーをしています」

 また、上戸彩の夫・HIRO(47才)も事務所を通じて協力していた。

「昨年3月11日の『めざましテレビ』(フジテレビ系)で東日本大震災の特集があったときに、この人形のことが紹介されたのですが、ナレーションを上戸さんが引き受けてくださいました。HIROさんも協力してくださり、人形をニューヨークに連れて行ってくださった」

 さらにある日、佐藤さんの家に段ボールが届いた。

「差出人に『五十嵐広行』と書いてあって、失礼だけれど初めて見る名前で、おそるおそる開けました。すると、EXILEさんのCDや本、HIROさんのサインに手紙も入っていて驚きました。上戸さんのメッセージも添えてあって、思いを寄せてくださるかたがいらっしゃることが、とてもありがたかったです」

 多くの人の手によって実現した姉妹の世界旅行。珠莉ちゃんは今も「サンタさんからのプレゼント」と信じている。

「いつか、本当のことを伝える時期がきたら、協力者さんの写真を見せて“サンタさんはこの人たちだよ”って伝えようと思っています」

 震災から6年。珠莉ちゃんは、愛梨ちゃんが亡くなった年を追い越し、9才になった。将来の夢は、アナウンサーだ。

「愛梨が叶えたかった夢です。なれるかどうかはこれからの勉強次第ですが、やっぱり、お姉ちゃんは珠莉の中で生きているんだなと思います」

※女性セブン2017年3月23日号

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