■所はどんな感動的VTRでも決して涙を流さない

「お茶の間最優先主義」を貫く所は、「自作自演な感じ」「押しつけがましさ」が画面に出ることを何より嫌う。だから過度な感情を表に出さない。

「驚くべきは、彼が収録でどんな突飛な発言をしたと思っても、オンエアで使えないことがほとんどない事実。視聴者の気持ちを慮るような『なるほど』と思える発言ばかりなのです。彼は私によく『番組収録では生放送のように編集なしの完パケで撮るのが理想』と語っています。現場での空気感をどうお茶の間に伝えるかを常に考えている彼ならではの言葉です」(吉川氏)

■最強の「人たらし」

 さらに所は「芸能界最強の褒め上手」であるという。

「決して歯の浮くようなお世辞はいわないが、“面白いね~”“最高じゃん”という一言でスタッフから共演者まで、相手を選ばずいい気持ちにさせる。過去には、収録開始時に激怒していた横山やすしをいつの間にかニコニコ笑顔にさせてしまったこともある。黒澤明や大江健三郎にも愛されていました」(同前)

●吉川圭三(よしかわ・けいぞう)/1957年東京生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、82年に日本テレビ入社。上記の番組のほか、『特命リサーチ200X』『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』なども担当。2013年より株式会社ドワンゴへ出向。現職は会長室・エグゼクティブプロデューサー。

イラスト■佐野文二郎

※週刊ポスト2017年4月14日号

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