──いま、なぜ相撲ブームなのだろうか。
「相撲本来の魅力に、ようやく時代が追いついて来たということではないでしょうか。力士だけでなく、歴史や伝統の奥深さにハマっている人が多い。相撲の底力を考えたら、不祥事で人気低迷のときでも、いつか必ず人気が上昇する日が来るという確信が私にはありました。遠藤、逸ノ城、稀勢の里はあくまで“きっかけ”なのです」
──「スー女」は、なぜ増えたのか。
「いまの草食化した男子に物足りなさを感じている日本女性が、相撲に興味を抱き、稽古を見て、その迫力に魅了されているのではないでしょうか。ジャニーズJr.からトップアイドルになるまで育てあげるような気持ちで、お目当ての力士を関取に育てあげる喜びもあるし、スポーツとしてのドキドキ感、伝統美、師弟の秘話など、働く日本女性がハマるツボが満載。白と黒の世界に命をかける純な男たちの素顔は実に愛おしいのです」
フジテレビ系のワイドショー『3時のあなた』『おはよう!ナイスデイ』、そして『とくダネ!』でもおなじみの横野さんは、件の「大相撲ODAIBA場所」が情報解禁される前から、「長年、通っているフジテレビのあるお台場で夏巡業が開催されるなんて夢のよう」とコーフン気味だった。
横野さんの「スー女」歴は長く、既に30年以上。出身地・大阪市の小学生時代には、場所が始まると、祖母と共に、NHKの『大相撲中継』とテレビ朝日の『大相撲ダイジェスト』を「フルコースで見ていた」のだという。
その後、件の若島津が1983年1月場所で大関に昇進した際、「この顔、タイプ!」と一気にファンになり、本場所はもちろん、巡業にも「全国行脚しました」というから、まさに“元祖・スー女”だ。
ケーブルテレビの契約アナウンサーを経て上京。フジテレビ系ワイドショーのリポーターになってからの横野さんは、事件から芸能まで、幅広いジャンルの現場からリポートし、女性ならではの目線と丁寧な取材が好評で、いまに至る。
が、なんといっても、現在の専門は「相撲」。情報番組で専門分野をもつことの重要性を教えてくれたのは、昨年12月、急逝した大先輩リポーター、武藤まき子さんだったという。
横野さん同様、芸能や事件以外に、「皇室」「歌舞伎」という強みをもっておられた武藤さん。訃報が飛び込んできた翌朝、横野さん他、多くのリポーターやMCの小倉智昭氏が『とくダネ!』で35分にもわたってトップで武藤さんを偲んだ際には、森繁久彌さんや森光子さんら、大スターと談笑する武藤さんのVTRが流されたものだ。