「それは苦手な、答えられない質問です。映画は小説より、登場人物の顔の表情や目つきとか、セリフや文字の描写だけで伝えられない部分があると思います。だから、そういった文字にならないこと─人間の表情や立っている姿とか、そういったもののボルテージで印象を高くするのが映画だろうと思っています。
そして、その高いボルテージで作った映画を観た人に、自分の人生で関わりのある部分が蘇ってくるというのが映画ではないでしょうか」
降旗映画には正義の味方やヒーローは登場しない。描かれるのはいつも、運命に翻弄され、過ちを犯し、苦しみながら生き抜くひとりの人間なのだ。
撮影■佐藤敏和、取材・文■戸田梨恵
※週刊ポスト2017年4月28日号