豊洲署編と題されて始まった『小さな巨人』の後半。物語はまるで“籠池騒動”を彷彿とさせる。そんななか、警視庁刑事部捜査一課から豊洲署に異動した山田(岡田将生)が、聞き込み中に、情報提供者に謝礼の話を持ち出すシーンがあったが…。
「出ます。こういう情報を得て、こういう効果があったと報告書を提出して、署長に決済をもらいます。捜査費、という予算がちゃんと組まれています。その場で現金で払うことが多いのですが、だいたい5000円から1万円で、領収書をちゃんと書いてもらいます」(田野さん)
だからといって、全員に支払うわけではない。ガセネタもあるからだ。
「これは有効だというものだったり、何度も連絡をして迷惑をかけた場合、捜査協力費として支払います。今では自腹のことはほとんどありませんが、平成のはじめ辺りは捜査費がまだなかったので、自腹で払ったものです。私も居酒屋で接触して、7000円ほど自腹を切りました。何度も同じ家に行くときには3000円程度の菓子折りを持って行きますが、それも自腹でした」(田野さん)
◆キャリアとノンキャリアは仲が悪い?
ノンキャリアとキャリアの確執は、『踊る大捜査線』(フジテレビ系)の青島(織田裕二・49才)と室井(柳葉敏郎・56才)のようによく見る光景だが…。
「キャリアとノンキャリアでは、採用自体が違います。キャリアは警察庁に採用される国家公務員。ノンキャリアは都道府県の警察官採用試験を受けた地方公務員です。本部や所轄に勤務します。キャリアが現場に来ることはありますが、仲は悪くありません。そもそも階級も役割も違うので、けんかになりようがないのです」(田野さん)
仲が悪いのは公安部と刑事部だ。田野さんが続ける。
「表立って衝突はしませんが、ドラマで描かれているとおりですね。例えば公安は刑事の情報を引き出すけど、一切情報をくれません。2004年に千葉の『いわし博物館』が大爆発した事件があったんですが、原因がわからなかったので、テロの可能性で公安と、爆弾を仕掛けたことに対応するのは捜査一課の特殊班の仕事なので、2本立てで捜査が始まりました。そうしたら公安はわれわれの情報をつまみ食いして、先に上に報告していました」
※女性セブン2017年6月15日号