「恋愛ホルモンによって、脳内では一気にいろいろな物質が作動し始めます。例えば男女の絆や愛情にかかわる『オキシトシン』が、“一緒にいたい”“会いたい”という感情を作り出します。
脳科学的には意味のない恋愛が、生物学的に重要な意味を持つのは、一緒にいる時間を長くさせて、生殖して子孫を残させるということ。だからPEAとオキシトシンが、一緒にいなければどうにもならないほどの気持ちを作り出すのです」
さらに恋愛中の脳内には、報酬系と呼ばれ、幸福感をもたらし、やる気スイッチを押すといわれる神経伝達物質『ドーパミン』が、側坐核などから大量に分泌される。ほかにも脳幹では、覚醒力が強く、気分を高揚させ、血圧の上昇にも関係する『ノルアドレナリン』や、一途な想いを生む『セロトニン』なども作り出す。
「恋は盲目」とも「恋の病」ともいわれるが、恋愛中の人が周囲の声に耳を傾けることなく、いつもとは違う言動をしてしまうのは、これら脳内物質のせいだ。
「恋愛中の脳は、こうした活性化物質によって刺激され、快感が与えられることによって、活動レベルが上がります。そういう意味で、恋をしている脳は若いといえます。ただし脳は、ずっと刺激があるよりも、同じ状態を保ちたいという恒常性を求めるので、PEAは次第に枯渇し、結果的にこれが飽きとか、慣れという現象につながるわけです。
一度愛し合った仲が、3~4年で終わってしまうのは脳のメカニズムとして組み込まれていること。それより長く恋人や夫婦の関係を続けるためには、理性を司る前頭葉の働きで、相手の存在を認め、自分の損得を考え、そこで一緒にいるべきかいないべきかを考え判断し、お互いを補完し合うような環境を作り出していくしかありません」(米山さん)
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号