オウム事件を契機に現在、宗教法人の所轄は小規模法人を除き文科省に移ったが、初代会長・牧口常三郎が治安維持法違反の嫌疑で獄死し、二代目会長・戸田城聖も同法違反容疑で戦中、入獄の憂き目に遭った学会は、組織の体質として国家権力からの宗教弾圧への危機感という意識を抱え、であるが故に常に権力の側に入り込み安泰を求めようとする、とみてよい。
だからこそ都議選への拘泥は、その後背に学会を控える公明党にとっては現在でも「全立候補者当選」を至上命題とする牙城なのだ。自民党に背き都民ファーストと結託する事情はこのような組織の歴史的血脈に求める事が出来る。
●ふるやつねひら 1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。主な著書に『左翼も右翼もウソばかり』『草食系のための対米自立論』。最新刊は『「意識高い系」の研究』。
○参考文献:薬師寺克行著『公明党』(中公新書)/参考資料:朝日新聞、OVA『人間革命』(シナノ企画)
※SAPIO2017年8月号