アート小説の旗手・原田マハさん


「美術史的に重要な作品であることは言うまでもないですが、さまざまな絵と付き合ってきた私の人生を通じて、特に忘れられないエピソードや個人的な思い入れがある作品を選びました」

 過去と現在を往来し、画家と原田氏の人生が1枚の絵を介して交錯する場面が記されている。

◆「この1枚で美術史は塗り替えられた」

 最初に紹介するのは、原田氏が「この1枚で美術史は塗り替えられた」と解説するピカソの『アヴィニヨンの娘たち』だ。

 18歳で初めてパリを訪れたピカソは、パリ時代初期の「青の時代」を経て、明るい色調の「ばら色の時代」で次第に名声を得ていく。しかし、それに安住せず、アートの既成概念を打開する衝撃的な次の一手を模索していた。満を持して世に送り出したのが、『アヴィニヨンの娘たち』だった。この作品とピカソは、20世紀初頭のキュビスム(立体派)を牽引していく存在となった。

 10歳のころに初めてピカソの作品(『鳥籠』)と大原美術館(岡山)で対面した原田氏は、「ピカソという画家を知らずに過ごしたとしたら、私はアートとこんなにも深く付き合うことはなかっただろう」と述べる。ピカソは、原田氏の人生にも大きな影響を与えたようだ。

 そのピカソが「私の唯一無二の師」と尊んだセザンヌ。原田氏が著書の中で選んだセザンヌ作品は、妻オルタンスを描いた肖像画『セザンヌ夫人』だ。

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