国際情報

ミサイルよりも怖い北朝鮮の攻撃 バルーンで化学兵器散布も

小型タイマー付バルーンの飛来を報じるニュース番組

 7月28日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の2度目の発射実験を行った。射程距離の延伸だけでなく命中精度の向上が進む北朝鮮の弾道ミサイルは、日本にとっても大きな脅威である。しかし、「北朝鮮から飛んでくるのはミサイルだけではない」と警鐘を鳴らすのは、朝鮮半島問題研究家の宮田敦司氏だ。

 * * *
 北朝鮮は米軍による軍事的圧力に対抗するため、日本に対して威嚇攻撃を仕掛けてくるとしたら、最初の攻撃は法律のグレーゾーンを狙って行われるだろう。つまり、自衛隊法第76条で規定されている「武力攻撃」とは言い切れないような攻撃を行うのである。

 グレーゾーンを突いてくる攻撃には、特殊部隊員やすでに日本に潜伏しているともいわれる工作員によるテロも考えられるが、日本には過去に北朝鮮のバルーンが大量に飛来していることから、バルーンを使用した攻撃も考えられる。

◆大量に飛来している北朝鮮のバルーン

 今年は(北朝鮮のものとは特定されていないが)、山梨、福島、秋田、山形などで朝鮮半島から飛来したバルーンが発見されている。北朝鮮からのバルーンの日本への飛来は1990年代がピークで、1度に80個以上飛ばされることもあった。日本海上空を飛ぶ大量のバルーンは自衛隊機からも確認されている。

 バルーンの大半は韓国・北朝鮮双方が政治宣伝のビラを散布するために飛ばしているものだが、日本に飛来したバルーンの中にはタイマーが10時間にセットされていたものもあった。ビラを散布する場合はタイマーの時間は4時間以内であるため、このようなバルーンは日本を対象にしていると考えるのが自然だろう。

 タイマーが10時間にセットされていたバルーンには2つのタイプがある。

(1)時間が来ると液体の内容物を落下させるなどの仕掛けを持つポリ容器がつり下げられているもの。

(2)容器がペットボトル型で、時間が来ると口が下向きとなり、中身が少しずつ漏れる構造となっているものである(「産経新聞」1997年1月10日)

 構造からみて(1)は化学兵器、(2)は生物兵器の散布を目的としているものと思われる。

◆化学兵器保有量世界第3位の北朝鮮

 韓国『国防白書』などによると、2014年までに北朝鮮の化学兵器の保有量は米ロに次ぐ世界第3位となったとみられている。保有量はVXガスやサリンを含む25種類の神経ガスなど2500トンから5000トンと推定されている。

 北朝鮮は、1960年代初めから化学戦の重要性を認識した金日成の「化学化宣言」にもとづき、研究および生産施設を建設し、化学兵器の開発を本格化させた。その後、1980年代から「毒ガスと細菌兵器を生産して戦闘に使用するのが効果的である」という金日成の教示により、生物兵器の生産にも力を注ぐこととなった。

 韓国『国防白書』(1999年版)は「1980年代までに生物兵器の生体実験が完了した」と指摘している。脱北者の証言によると生体実験は強制収容所で行われたという。

 韓国国防部(国防省)は、北朝鮮との全面戦争になった場合、北朝鮮は開戦後3日間で北朝鮮に近い地域に740トンの化学兵器を使用、その場合、1か月間で軍人29万人、民間人190万人の死傷者が発生すると予想している。

 また、ソウルを中心とした首都圏には70トンの化学兵器が使用され、民間人の死傷者は120万人に達するとみている。なお、化学兵器は「化学兵器禁止条約」の対象で製造や保有、使用が禁じられているが、北朝鮮、エジプト、南スーダンの3か国は同条約に署名していない(2015年現在)。

 北朝鮮は生物兵器も大量に保有している。

「微生物研究所」などに炭素菌、ペスト、コレラ菌など約10種類の菌と細菌培養施設を保有しており、有事にはこれを培養して細菌兵器として使用する計画であることが確認されている。

関連記事

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン