「当時は私もゆくゆくは子供が欲しいと思っていたので、話し合いの場を持ちました。恥ずかしくて“どうしてセックスできないの?”とは言えなくて、“なんで私を愛してくれないの?”って聞きました。すると主人は“えぇ~、こんなに大切にしてるじゃん?”ってヨシヨシされて…。私の思いは全然伝わりませんでした。でもこんなこと、恥ずかしくて親にも相談できないんですよね」
女性ファッション誌でも、「セックスでキレイになる」「脱・セックスレス読本」といったセックスを推奨する企画が組まれるため、セックスをしない女性は不幸の烙印を押された気分を味わう。しかも、自分は欲しているのにパートナーから見向きもされないというのは、胸が張り裂けるような思いだろう。
どちらのパターンにせよ、日本では昔から「セックスレス=悪」というイメージが根強く残る。民法770条にこんな一文がある。
《[裁判上の離婚原因]夫婦の一方は、左の場合に限り、離婚の訴を提起することができる(中略)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき》
離婚問題に詳しいフラクタル法律事務所の堀井亜生弁護士が解説する。
「法律では婚姻は精神的、肉体的な結合であり、性的関係は重要だとみなされている。そのため、病気や老齢などの理由や当事者間の合意がある場合は別として、長期間性交渉がないことは、『その他婚姻を継続し難い重要な事由』に当たるのです」
堀井弁護士によれば、実際に肉体的欠陥がないにもかかわらず、夫が1年4か月、正当な理由なく性交渉を拒否し、一方で自慰行為をしていたため、離婚が認められたケースもあるという。
このように法律も「セックスレス=悪」と認めているのだ。そのため親にも家族にも友人にも悩みを打ち明けられず、ひとりで抱え込んでしまうという女性が後を絶たないのだ。
※女性セブン2017年8月17日号