スポーツ

小兵から巨漢力士まで 80年代~00年代前半の名勝負4選

舞の海が曙を破った伝説の一番(写真:共同通信社)

 相撲が好きな人ならば、誰しも必ず「忘れられない一番」があるはずだ。横綱同士の力のぶつかり合い、小兵力士が技術で巨漢力士を圧倒した一番、そして勝負以上に人を惹きつける土俵上での人間ドラマ。どんなに時間が経っても色褪せることのない一番は何か。1980年~2000年代前半の名勝負を4番、紹介しよう。

○貴乃花(上手投げ)武蔵丸● 2001年夏場所千秋楽
「『平成の大横綱』が見せた鬼の形相、『痛みに耐えて』優勝を掴んだ」

 肝機能障害や筋断裂により優勝から遠ざかっていた貴乃花。初場所で21回目の優勝を飾ると、夏場所も13日目まで全勝。完全復活したかに見えたが、14日目の武双山戦で右膝半月板を損傷する。千秋楽に強行出場したが、武蔵丸との本割では立ち合いの変化についていけず完敗。これで星が並んだ武蔵丸との優勝決定戦に突入する。

 当然、武蔵丸有利に思われたが、右足を引きずりながら対戦に臨んだ貴乃花が左からの上手投げで勝利。その瞬間の鬼の形相は大写しで放送され、表彰式で内閣総理大臣杯を授与した小泉純一郎首相(当時)の名セリフ「痛みに耐えてよく頑張った。感動した!!」は流行語となった。しかしその代償は大きく、7場所連続全休を経て、復帰3場所目で引退を決意。これが貴乃花の最後の優勝となった。

○千代の富士(上手出し投げ)北の湖● 1981年初場所千秋楽
「最強・北の湖に『待った』、ウルフが自らたぐり寄せた横綱の覇権交代」

 1970年代後半に圧倒的な強さで角界に君臨していた横綱・北の湖。彼に代わって1980年代に第一人者の座に就いたのが千代の富士だった。

 この一番は北の湖から千代の富士への覇権交代につながる一番。関脇2場所目の千代の富士は全勝で千秋楽を迎え、初優勝に王手をかけたが、13勝1敗で追う横綱・北の湖が立ちはだかる。本割は北の湖が万全の相撲でつり出し14勝1敗で並び、優勝決定戦へ。

 喧嘩四つの2人だが、決定戦でも北の湖が十分の左四つとなった。右上手を引いて寄る北の湖に対し、頭をつけて寄り返す千代の富士。北の湖が強引に出るところを千代の富士の右から繰り出した強烈な上手出し投げが決まった。場所後、千代の富士は大関に昇進。同年、名古屋場所千秋楽で再び北の湖を速攻で破って2度目の優勝を決め、横綱に昇進した。

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン