『カンナさーん!』を手がけたマギーは明治大学の仲間と結成した超人気コント集団「ジョビジョバ」のリーダー。2002年に解散するまでの10年間、演出、出演、脚本すべてを手がけていた。
2006年、放送作家・鈴木おさむ氏と芸人で妻の森三中・大島美幸との結婚生活を綴ったエッセイのドラマ化作品『ブスの瞳に恋してる』(関西テレビ系)で連ドラの脚本家デビューを飾った後も、『山田太郎ものがたり』、『こちら葛飾区公園前派出所』(以上TBS系)、『地獄先生ぬ~べ~』『臨床犯罪学者 火村英生の推理』(以上日本テレビ系)と、「原作」があるドラマを多く担当している。
『カンナさーん!』も『YOU』誌上に連載された深谷かほる氏による漫画を下地にしている。原作もののオファーがかかる理由はなぜなのか。
以前ウェブのインタビューで彼は、「ほかの脚本家と自分が違う点として挙げるのであれば役者への愛情の注ぎ方」とし、「自分が嫌なことを他の役者にさせたくない」と語っている。確かに本作では役者への個人的な感情は抜きにして、みな人が良い役柄ばかりだった。
つまりマギーは原作の魅力を読み解く目と、それを脚本に生かす腕はもちろん、舞台に立つ芸人であるがゆえに、俳優にその役をやらせたときにどう視聴者に見られるかもよく熟知している。そんな「客観的な視点」と「やさしいまなざし」という2つをバランスよく兼ね備えていると言えよう。
◇「セオリー」を軽々と越えられる身軽さ