ライフ

【書評】半藤一利と阿川佐和子が語る「昭和を代表する男」

【書評】『昭和の男』/半藤一利・阿川佐和子・著/東京書籍/1400円+税

【評者】関川夏央(作家)

 半藤一利と阿川佐和子、年齢差二十三のふたりが、それぞれ四人ずつ「昭和を代表する男」を選んで対談した。

 半藤一利がまずあげたのは、終戦時の首相鈴木貫太郎である。日露戦争では勇猛な駆逐艦長、のち海軍大将となった鈴木貫太郎は、昭和十一(一九三六)年、昭和天皇侍従長であった六十八歳のとき二・二六事件の叛乱部隊に自宅を襲われ、ほとんど致命的な銃弾四発を受けた。夫人の「とどめだけはやめてください」という懇願に、安藤輝三大尉は軍刀をおさめ、敬礼して去った。天皇の指示で急行した医師らの緊急輸血で、鈴木は奇跡的に一命をとりとめた。

 昭和二十年四月、七十七歳で首相に任じられた鈴木貫太郎は強硬な陸軍と折衝しつつ、八月九日、御前会議で天皇に意見を求め、ポツダム宣言受諾への道を開いた。また八月十四日、最後の閣議を臨時の宮中御前会議に変更してクーデター軍の来襲をふせいだ。

 しかし天皇は最高指導者として軍に命令できるが、「終戦とか、開戦という問題は内閣の問題」だから、意志表示してはならないのだ。この憲法違反と、老人決死の「のらりくらり」のおかげで、日本は破滅の淵を脱した。

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン