見合い相手としてやはり証人尋問に出廷した大阪府の81歳の男性もこう証言した。
「マナーのいい人で生活力もあると事前に聞いていましたが、まさにその通りだと思いました」
彼女と出会った多くの男性が、おおむね好印象を抱いていたようだ。
◆遺族は複雑な心境を語った
しかし、そうした姿は、“仮の姿”であったと思わせる言葉を千佐子は語っていた。拘置所で千佐子と面会した知人が、彼女にこれまでに本気で好きになった男性はいるのかと尋ねたところ、思いもよらぬ言葉が返ってきたそうだ。
「そやなあ、最初に結婚したときくらいやろうなァ」
そんな千佐子が、面会時に涙を見せたことがある。
「自分が産んだ子供と育ての親の話が出た時は、感情を露わにして泣いていました」(面会した知人)
自分の思い入れのある相手に対しては涙を流す千佐子だが、法廷で被害者やその親族に対して、反省や謝罪の言葉が出てくることはついぞなかった。それは、人の命を奪ってまでも、自らを満たすことを選択する姿と重なるように感じた。