考えてみると、命の危険もそれほど感じず、何不自由なく暮らせる我々日本人にとって、不便ながらも過酷な状況に身を置き、創意工夫で生き延びる姿に惹かれるという部分も大きいだろう。

 第3弾まで放送されている『全世界極限サバイバル』は、前述の通りタレントたちが過酷な環境で100時間生き残る番組だ。一昨年の放送では、KAT-TUN・上田竜也がマイナス50度の北極圏に投げ出され、食料が尽きた挙句、アザラシの死骸を拾って食べるという衝撃のシーンがオンエアされた。さらには昨年正月の特番では、タンザニアでのサバイバル生活に挑んだNEWS・ 増田貴久が、ノドの渇きを潤そうと、専門家から事前に教わっていた飲料確保術にトライ。それは、「ゾウのフン」。植物を多く食べる象のフンには多くの水分が含まれているため、そこから搾り取ると水が出るというのだ。増田は濁った水を煮沸・消毒、意を決して飲み干していた。

 ビンタといった「罰ゲーム」などキツいことをやらせればクレームが舞い込み、少しでも「作為」が見え隠れすれば「ヤラセ」という声が殺到する「ムチャブリ」禁止時代。喜怒哀楽など、「生」がむき出しのリアクションを引き出すには、笑い本位ではなく、ドキュメンタリーの装いの中で自然にそれが見える「冒険」という形にたどり着かざるを得なかったのかもしれない。今後はどんな企画が生まれ、どんなスターがはばたくのか楽しみにしたい。(芸能ライター・飯山みつる)

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