片山:無自覚なのは安倍政権も同じかもしれません。2007年5月に国民投票法を成立させました。しかし国民投票には大きなリスクがともないます。
佐藤:2016年にイギリスで行われたEU離脱国民投票がすべてを物語っています。
片山:イギリスのEU離脱は、日本でいえば日米安保破棄に相当するでしょうか。小泉純一郎氏のような劇場型の政治家が「日米安保を国民投票にかける!」と煽れば、安保破棄ですら現実味を帯びてくる。
佐藤:あるいは安倍さんが自衛隊を明文化する憲法改正の国民投票を行ったとします。投票直前に「このハゲー!」とわめいた豊田真由子のようなスキャンダルが発覚し、メディアが連日取り上げたら憲法改正の中身は二の次になります。
片山:イデオロギーや改憲の善し悪しではなく、反安倍の逆風で改正反対が一気に増えるでしょうね。
佐藤:反対が上回れば、自衛隊は違憲になり、国家制度の根本が揺らいで大混乱に陥ってしまう。我々はリスクを背負っていることを自覚する必要がある。
片山:1人の議員の常軌を逸した行動が50年後、100年後の国家の行く末を決めてしまうかもしれない。2007年7月に行われた参議院選挙も閣僚の不祥事が続発して、自民党は歴史的な惨敗を喫しました【※注3】。
【※注3/年金問題や閣僚の不祥事が重なり、自民党が歴史的惨敗を喫した選挙。1955年の結党以来守り続けた参議院第1党を民主党に譲った。第一次安倍政権退陣の引き金に】