スポーツ

「異常に強い朝青龍」が紅白より大晦日にふさわしかった理由

紅白ではなく朝青龍を見て良かった瞬間とは(イラスト/ヨシムラヒロム)

 AbemaTVによる大晦日の特別番組『朝青龍を押し出したら1000万円』は、取組が始まる前に視聴数が100万を超え、最後の挑戦者である元琴光喜の取組が始まる頃には500万を超えた。番組が終了したときには、元大関琴光喜との取組に感激したとの意見がネットでは多く見られていた。この特番の最初から最後まで、4時間45分見続けたイラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、番組としての完成度について振り返った。

 * * *
 大晦日、テレビ局は各々力を込めた特別番組を放送する。そのとき、インターネットテレビの盟主AbemaTVでは『朝青龍を押し出したら1000万円』を配信していた。

 力自慢の挑戦者が朝青龍と相撲、勝てば1000万をゲット。説明するまでもないが、タイトル通りの内容である。

 12月31日20時00分から1月1日00時45分まで。4時間45分の長丁場。

“朝青龍が7年ぶりに取組”ここだけを見れば、素晴らしい番組だ。しかし、ネックとなったのは放送時間の異常な長さ。ここがキツくて仕方ない。

 朝青龍への挑戦したのは、琴光喜(元大関)、ボブ・サップ(格闘家)、泉浩(柔道銀メダリスト)のVIPチャレンジャー3人。そして、一般応募から選ばれた5人の計8人の猛者達。

 挑戦者は8人、書かずもがな朝青龍は番組内で8回相撲を取る。取組は短ければ一瞬、長くて1分ほど。挑戦者がいくら粘っても、相撲シーンの取れ高はマックス8分だ。

 最大の見どころ“朝青龍の取組”は8分以下、比べて長すぎるのが4時間45分の放送時間。

 単純計算してみよう、4時間45分-8分=4時間37分

「4時間37分間の空き時間、なにをやりたいんだ!」とツッコミたくなる番組であった。

 格闘技の放送には、試合で戦う人間を紹介する“煽りVTR”がつき物。視聴者は、そこで格闘家の強さや戦う理由を学ぶ。事前情報を入れることで、応援にも気持ちがこもる。

 2000年頃、日本格闘技シーンを席巻した『PRIDE』。圧倒的な支持を得た理由の1つが、試合を盛り上げる“煽りVTR”の秀逸さ。

 格闘技番組は、試合をやっていない時間に、視聴者を飽きさせないことが重要。よって、“煽りVTR”が大事になってくる。

『朝青龍を押し出したら1000万円』は、良い意味でも悪い意味でも真っ向勝負。朝青龍と挑戦者以外のコンテンツは用意していない。幕間のコントといった、お笑い要素も一切ない。

 ゆえに、相撲以外の4時間37分間は“煽りVTR”を流し続けるハメに……。

 視聴者からすれば、史上最も長く“煽りVTR”を見続ける番組。

 番組制作側からすれば、史上最も長く“煽りVTR”で視聴者の興味を持続させる番組。

 2つの意味でミッションインポッシブル! 不可能な任務!

 どんな朝青龍のファンでも見続けるのは難儀だろう。どんな名監督でも4時間37分間の飽きない“煽りVTR”を作ることは不可能だ。

 更に、事前番組から見ていた僕のような人間にはすでに知った情報。

「ミニにタコ by田代まさし」できるほどに再放送、見続けることは苦行に近い。

 取組後の朝青龍の休憩などを考えれば、仕方ない構成だと分かる。

 だけど、視聴者にガマンを求め過ぎだって!

 番組で唯一満足できたのは、朝青龍の異常な強さ。

関連記事

トピックス

「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
3年ぶりに『紅白』に出場するKing & Prince
《ボーイズグループ群雄割拠時代が到来》キーワードは「オーディション」と「自由」 メンバー個人での活躍の場も拡大、“脱退組”にも注目
女性セブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン