しかし、そうしたサポートが、今回の事件の引き金になったとも、久野氏は自戒するのである。
「事件の詳細を知ってから、しばらく時間が経過する中で、いろいろな考えが頭を巡りました。私が過剰に応援しすぎたために、康大にしてみればそれが“オリンピックに出なければならない”というプレッシャーとなっていたのだと思います。私も反省しなければなりません」
◆「禅の道で鍛え直す」
久野氏は自身が社長を務める会社に鈴木を所属させていたが、事件の公表を前に解雇した。
「昨年12月に解雇しました。年明けに発表されることは耳にしておりましたので、もうスポンサーとして支援することはできない。雇用関係はなくなりましたが、事件当時は私の会社に籍がありましたし、父子(おやこ)の関係というのはなくなるものではない。私も社長として、あるいは親として、一緒に罰を受けなければならないと思っております」
他選手からの金銭の窃盗などは示談となっており、今後、鈴木が刑事罰に問われる可能性は低いだろう。
「羽根田(卓也)選手がリオ五輪で銅メダル(スラロームの男子カナディアンシングル)を獲得して、カヌー界が東京五輪に向けてさあこれからだという時に、息子が水を差してしまった。本当に、お詫びしてもお詫びしきれません」