国際情報

「金正男の暗殺」を金正日の甥が22年前に予言していた

李韓永氏はインタビューの翌年、北の工作員に暗殺された

 平昌五輪を機に、文在寅政権は「南北融和」を演出した。しかし、現実の北朝鮮は、金ファミリーが身内や側近を殺害する恐怖政治をやめようともしない国家だ。長年、北朝鮮について取材してきた落合信彦氏が、かつてインタビューした金正日の甥の「予言」を紹介する。

 * * *
 金正恩が最高指導者になってから、北朝鮮では粛清の嵐が吹いている。2013年には叔父で後見人的存在だった張成沢が、「国家転覆陰謀行為」により処刑された。そして昨年、異母兄であり金正日の長男だった金正男をマレーシアのクアラルンプール国際空港でVXガスを吹き付けて暗殺した。

 この容赦ない恐怖政治の予兆は、金正日の甥で正恩の親族である李韓永氏が私に明かした「ロイヤル・ファミリー」の実像からも感じられた。

 金王朝の一族に生まれた李韓永氏はモスクワ外語大学に留学、卒業後、スイスのジュネーブに向かい、韓国に亡命した。当地で韓国の情報機関と接触、その後ソウルでインタビューした(1996年)。彼は「ロイヤル・ファミリー」について次のように述べた。

「金正日指導者は孝行息子です。かなり父親に気を使っていましたし、1976年には数千万ドルをかけて豪華な主席宮を作ってあげたりもしました。しかし、彼が正式な後継者となって指導者として全国を統制し始めてからは目に見えない葛藤があったと思います(中略)。

 1970年代末から1980年の初めにかけて金正日指導者は主席宮をすぐ封鎖できるシステムを国家刑事保安部の中につくったのです(中略)。

 確かにキッカケはありました。金正日指導者の指示で労働党連絡部の工作員が外国の女性を連れてきたのです。キップムジョ(悦ばせ組)はすべて朝鮮の女性ばかりでしたから飽きたのでしょうね。それについて事後報告したら金日成主席がひどく怒って金正日指導者を叱責したというのです。そして父親の信頼を失ってしまったのではないかと思い始めた。さらには父親が自分に対して何らかの措置を取るのではと疑心暗鬼に陥ってしまった。結果として主席宮を監視し、いつでも封鎖できるようなシステムを作り上げたわけです」

関連記事

トピックス

『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン