安熙正がらみでは別の飛び火もあった。さる女子大の文学部で現役の作家である教授が講義の際、秘書の女性がバツイチだったことを指摘したうえで、文学作品を素材に「離婚女性の肉体と心理」について事件を文学的(?)に解説したところ、学生たちが「安知事を擁護し被害女性にさらに被害を与えるもの!」と騒ぎ出し、これにマスコミも乗っかったため、くだんの作家は教授辞任に追い込まれてしまった。
韓国世論はこうした「ミー・トゥ」問題で沸騰しているため「日本では静かなようだがどうなの?」とよく聞かれる。「いや、日本では週刊誌が不倫問題で日常的に騒いでいるよ」と応えているが、日本の「ミー・トゥ」問題としては元TBSワシントン支局長から被害を受けたという日本女性のインタビューや写真作家「アラーキー」の名前が韓国マスコミを飾っていた。
それにしても韓国では「ミー・トゥ」でなぜ大騒ぎなのか。慰安婦問題もそうだが、近年、民主化の一環として女性の自己主張がえらく強くなっているのが最大の背景だ。慰安婦問題に執ようなのもそのせいだが、もう1つ、韓国社会は体質として世論にいったん流れができると、みんな一瀉千里になり、異論は許されないということがある。「バスに乗り遅れるな!」気分というか、横並び志向が強く、いってしまえばことのほか流行に弱いのだ。