金正恩が愛した母・高ヨンヒ。くり返すが、彼女の生まれ故郷は日本だ。ここに、日本が金正恩にアプローチできる一つのきっかけがあるかもしれない。かつては非合法な形で来日したが、金正恩が北朝鮮の最高指導者として胸を張って母の生まれ故郷を訪れたいとの思いを抱いている可能性は十分にある。
例えば、日朝首脳会談の機が熟した時、「実母である高ヨンヒが生まれたゆかりのある大阪で開催してはどうか?」という大胆な提案をするのもいいだろう。トランプが北朝鮮に対する姿勢を変えたからといってあたふたする暇があるなら、今こそ金正恩と日本の秘められた繋がりを活用する策を練った方がいい。
【PROFILE】高英起/関西大学経済学部卒業。1998年から1999年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。
※SAPIO2018年5・6月号