国内

今回も? 長期政権末期の壮絶な利権争奪戦は自民党のお家芸

政治家の改憲熱は冷めた(時事通信フォト)

 度重なるスキャンダルで安倍政権は窮地に陥り、側近たちは「政権の果実」の収穫に忙しい。それはカジノ誘致や高等教育無償化、整備新幹線などに現れる。そうした党幹部や側近議員の“政治活動”は「森友や加計などの問題で停滞した分を取り戻そう」という安倍政権の求心力の回復をうかがわせる動きにも見えるが、内実はバラバラの私利私欲でしかない。

 それをはっきり物語るのが、安倍晋三首相が最も力を入れてきた政策の実現に誰も熱を上げていないことだ。

「憲法に我が国の独立と平和を守る自衛隊をしっかりと明記し、違憲論争に終止符を打たなければならない」

 憲法記念日(5月3日)の改憲派市民団体の集会に安倍首相はそうビデオメッセージを寄せ、なおも改憲に意欲をにじませた。

 しかし、盟友や取り巻き、側近たちはカジノ法案や新幹線建設、大学無償化といった政治利権につながる政策には熱心なのに対して、首相の最優先の政治テーマの憲法改正を少しでも前進させようという動きが与党内に全く見られない。

 権力者の側近として政権のうま味を味わってきた政治家たちにとって、政権の先行きが見えたいま、自らの政治的影響力の強化や利権につながる政策であれば刈り取ろうとするが、利権を生まない憲法改正にはさしたる関心がないのだ。

 取り巻きたちは安倍晋三という政治家の理念に共鳴した“お友達”ではなく、自らの政策、政治的利益を達成するために権力に近づいてきた人々だったことが見て取れよう。

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