◆判定不能も…前例のない90代での健診

 身長・体重は、千多代さんが131.5cm、33.5kg、美根代さんは152.4cm、44.1kg。ふたりとも「標準体重より軽い」という結果が出たが、「この年齢の人で健診を受けるかたが少ないので、あくまで参考値としてみてほしい」と看護師。比較するための“前例がない”項目もある。

 例えば、骨密度の検査。本来、骨密度を測るのは80才までを対象とするため、今回は特別にレントゲンを使って大腿骨で測定してもらった。しかしその結果も…。

「骨密度の数値は平均より低いと出ていますが、この“平均”は80代のかたの数値から計算したもの。おふたりの年代のかたの臨床データは少なすぎるので…」

◆おしゃべりが健康の秘訣!?

 すべての健診が終わるまで、約1時間。大きな病院の中を縦横無尽に移動するも、全く疲れた様子は見せない。

 視力や聴力を検査する合間には、千多代さんが記者にこんな貴重な話もしてくれた。

千多代さん「牛乳は体にええと思って、昭和16年から飲んどったんだぎゃ。その頃は戦争中やったから焼夷弾は落ちるしよ。ばばばーって降ってきて、おそげーよー(恐ろしいよ)。防空壕もどかーんいうて、かわいそうに子供が1人出てこなんだ…」

 戦時中の壮絶な暮らしを想像し、無口になるわれわれ。それを察し、千多代さんは場を盛り上げようとこう続けた。

「そんな時代に、牛乳を飲んどりましたっ!」

 ちゃめっけたっぷりに語るさまに、思わず吹き出してしまい、しんみりとしたムードが一変。悲しい体験も苦しい体験も、千多代さんは笑い話に変えてしまうのだ。

 医師の問診でも、そのおしゃべり力が評価されていた。

「美根代さんも千多代さんも耳も目も全体的に落ちてきているが、こりゃあ年齢的にしょうがないで。また、ちょっとしたことで骨が折れてしまいやすい状態だから、転ばないように注意してくださいよ。でも、それだけしっかりしゃべれていれば健康な証拠。食べられてるでしょ? じゃあ大丈夫。やっぱり長生きの家系なんでしょうな」(医師)

 ふたりの診断結果を見ると、肝機能、血中脂質、糖代謝とほぼすべて80代女性の基準値内に収まっていた。

 ちなみに美根代さんは2年前に大腸がんの手術を受け、現在も通院中で、腰痛には悩まされているというが、すこぶる元気そうに見える。

◆長生きのDNAは存在しなかったけれど

 すべての診断が終わったあと、ふたりに感想を聞いた。

千多代さん「さっきお医者さんにも“長生きの家系”と言われたけれど、母は特別やな」

美根代さん「今と同じ年齢のとき、私らより全然元気だったもんなあ。比べるとわしは去年から急に体が年取ったなって感じる。杖をつくようになったのも先月からだしなあ」

関連記事

トピックス

山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン