◆「アナログさが今まさに新鮮!」風見しんごさん
ぼくは原作の映画版『あいつに恋して』で、シマくん役を演じさせてもらったんですけど、とにかく撮影は苦労の連続。道産子って農耕馬だからなかなか乗せてくれないし、蹴られるわで。生き物だからどこでもウンチもするし、その都度、撮影を中断して掃除もしなくちゃならない。
もちろん、エサや体の手入れも重要です。いやぁ、これを本当に成し遂げたシマくんって、“もしかして、計画性なかったのかも!?”って(笑い)。だって、綿密にあとさき考えてたら、冒険なんて生まれないですもの。
行き当たりばったりでも自分の体で経験を積んでいく。しかも馬とですよ! これって、いい意味で、ものすっごいアナログじゃないですか。
今は手のひらのスマホで地図だって見られるし、宿の予約もできる。Siri(音声認識で質問に答えるAIアシスタント)に聞けばなんでも答えてくれるけど、ゴン太はな~んにも答えてくれない。だけど、大事なことを旅のなかで教えてくれるんですよね。
◆「動物の立場になって考えられます」川上麻衣子さん
とっても面白くて一気に読み終えてしまいました。冒頭のイラストのおかげで強くイメージできましたし、そのあと具体的な文章でなぞっていく構成がわかりやすくていいですね。
シマくん、最初は自分の都合よく動く道具として、ゴン太を見ていたと思うんです。でも、旅の途中から徐々にゴン太の気持ちに歩み寄っていくところがとても正直に描かれていて…。
やっぱり、生き物ですから思い通りにはいかないし、想像もしていなかった行動をとることがあって当然なんですよね。
馬であり、犬であり、猫であり、人間がもっと生き物の立場にたってコミュニケーションをとることが大切だなと…。
ペットとの暮らし方が考えられる時代だからこそ、この本を読んで人間が動物たちの本来あるべき姿をちゃんと見つめ直していかなきゃいけないなって、そんなことを改めて考えさせられました。
※女性セブン2018年8月2日号