◆単価は下がっています
──また、性風俗産業は経済状況に大きく左右されます。本には男娼たちの収入が掲載されていて、もちろん人によって違いますが、率直に言って、思ったより少ないと感じました。たとえば、絶頂期に月150万稼いでいた48歳の方は、今は20~40万。年齢的な要因も大きいようですが。
中塩:単価は下がっています。これは風俗嬢も同じですね。なくなりはしないですが、働く側にとって夢のような仕事ではなくなっている。これから始めたい人は、何歳くらいまでにいくら貯めるとか、自分の人生設計を持っていないと先々辛くなると思います。
──「周りはゲスに見ている」という言葉にあるように、男女問わず、性風俗従事者への偏見は根強くあります。それに関してはどうお考えですか?
中塩:世界的に見てもセックスワーカーの地位は高くないし、地位を上げるのは難しいと思いますが、必要な仕事ではありますよね。本にも書いたように、男女問わず、古代から続いている仕事ですから。だから私としては、「必要な仕事」という認識をもってもらえればいいかなと思います。それから現実的な対処として、セックスワーカーの非犯罪化が進んでほしいですね。安全な環境で働いてもらいたい。それは願います。
中塩智恵子(なかしお・ちえこ)◆1974年生まれ。宮城県石巻市出身。アダルト系出版社を経てフリーランスのライターに。現在はおもに女性週刊誌で執筆。政治家、文化人、芸能人、風俗嬢、ウリセンボーイ等と幅広い取材活動を行う。2002~2006年までタイ・バンコクに在住。現在、新宿二丁目在住。著書に『風俗嬢という生き方』(光文社知恵の森文庫)がある。