そんな最後のサムライに対して国は冷淡でした。私は生きているうちに国から父に「ご苦労様」と一言、労ってほしいと願っていました。でも実現されずに父は逝ってしまいました。私は父について語り、書くことで、父の思いを継いで、無念を晴らしたいと考えているのです。
●ふかたに・としお/1948年、中国上海生まれ。深谷義治氏の次男。1978年、一家で日本へ帰国。著書に、『日本国最後の帰還兵 深谷義治とその家族』(集英社文庫)がある。
■取材・構成/山川徹(フリーライター)
※SAPIO2018年7・8月号