国内

中国共産党の拷問に耐えた“最後のサムライ” その壮絶人生

帰国後の父・善治氏と母。日本政府は冷淡だった

 1945年8月15日以降も、シベリア抑留など、多くの日本人が「終戦」を迎えられなかった。だが、彼ほど最後まで戦った日本人はいない。最後の帰還兵・深谷義治氏の壮絶な人生を、息子の敏雄氏が語った。

 * * *
 日本国最後のスパイと呼ばれた父が亡くなったのは2015年春のことです。終戦後も中国に潜伏して諜報活動を続けた父と私たち家族が日本に引き揚げてきたのが1978年。それから36年。99歳で息を引き取るまで、日本のために戦い続けた人生でした。

 父の死後、私は島根県の実家を整理しました。すると戦前に父が頂いた叙勲賞状や明治天皇の肖像画などとともに、御朱印帳が保管されていました。それは、歴代天皇が眠る御陵のご朱印を集めた戦前の集印帳でした。

 遺品の数々を見て、分かった気がしました。なぜ父が最期まで日本に忠誠を尽くしたのか、と。

 1915年に島根県大田市で生まれた父は、貧しかったために中学を中退して大阪で働きはじめました。遺品のなかに当時の思い出を綴った広告チラシがありました。チラシの裏には、こう記されていました。

〈1カ月2回の休みのほとんどは近畿地方の御陵参拝に行った。朝、3時半ころ起床し、自転車で奈良の御陵に行き、参拝。次に京都の御陵に行き、さらに大津の御陵参拝を終え、夜9時半ころに大阪に帰ったときは自転車のサドルの摩擦で出血し、小便に困った。3年間の丁稚奉公の間に神武天皇以来、122代天皇の御陵のなか118代の天皇御陵の御朱印をもらった〉

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン