国内

就活売り手市場のなか、裏社会で生きると決めた大学生の言い分

大学生の犯罪が増えている(写真はイメージ)

 2019年卒業予定の大学生、大学院生の採用面接が今年6月、解禁された。学生優位の売り手市場で就職内定率はすでに65%を超えているという調査もあり、大卒という肩書きには大きな価値があると言えるだろう。しかしながら、その肩書きをよそに犯罪すれすれ、もしくは犯罪に手を染める学生が増えていると指摘するのが、「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中の『ハスリンボーイ』原作を担当する草下シンヤ氏だ。同作で学生でありながら、奨学金返済のために裏社会の稼業を行う主人公を描いている草下氏が、その【裏社会リアル】をレポートする。

 * * *
 今年3月、警視庁捜査2課を装ったオレオレ詐欺でキャッシュカードをだまし取ったとして、神奈川県の21歳私立大学生が詐欺と窃盗の容疑で逮捕。6月には子供や上司をかたって電話し、上司の娘を装って77歳無職女性から300万円をだまし取った疑いで、品川区の23歳大学生を詐欺の疑いで再逮捕(5月にすでに詐欺未遂容疑で逮捕されていた)。また、7月には70代男性から純金1キロと現金350万円をだまし取ったとして静岡県の19歳大学生が詐欺容疑で逮捕された。

 このように報じられる大学生は、氷山の一角にすぎないと私は思う。取材活動の一環で、暴力団関係者や半グレの誕生日会や忘年会などに顔を出すことがあり、その中で近年感じる変化は、現役大学生の姿をちらほら見かけることだ。

 大学進学率が50%を越え、進学することが当然の時代になって久しいとはいえ、大学生といえば人生の「正規ルート」を歩んでいる存在のはずだ。なぜ犯罪集団の集まりに参加し、その一員として振る舞っているのだろうか。マリファナ栽培と販売のネットワークを持つ高田(仮名・42歳)は大学生の売人を何人か使っていると語った。

「今の大学生は金がないやつが多いからね。クラブに来てるやつにネタも触れるし小遣い稼ぎになると声をかければ、簡単に売人になるやつも多いよ」

 しかし、一般の大学生など口が軽くて危険なのではないだろうか。

「こっちの連絡先はトバシだし、足はつかないようにしてる。ただの使い捨ての兵隊だよ」

 犯罪をしている大学生の多くは“遊び”感覚であり、使っているほうも体のいい遊撃隊と見なしている。需要と供給は成り立っているのだ。

「あいつらは犯罪を行なっている意識というのがないわけじゃないと思うけど、軽いよね。今の自分の生活にも未来にも希望が持てないから、軽い気持ちで犯罪に手を出す。まあ、うまく使わせてもらっているよ」

 薬物の売買から特殊詐欺の出し子・掛け子に至るまで、犯罪を行なう大学生は一定数、存在している。また、ソープランドで働きながら奨学金を返済している女子大生も、私の身近にいる。

 実際、特殊詐欺の世界においても、大学生の出し子・掛け子の存在は珍しいものではない。以前、特殊詐欺のグループを任されていた大山(仮名・30歳)に聞くと、何人かの大学生の掛け子を抱えていたという。

「正直、こんなやつがって感じのやつが掛け子してたよね。でも、特に腹割って話すようなこともないし、何を考えていたかはわからない。やつらからしてみたらちょっと危ないギャンブルみたいなものなんじゃないの?」

 大学生が裏社会に入るルートはさまざまだ。

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン