もともとTBSは奇数年の8月に『世界陸上』を放送するなど、夏のスポーツイベント中継に対するノウハウと自負がある上に、『東京オリンピック2020』の日程も夏。アジア大会中継のキャッチコピーに「アジアを制してTOKYO2020へ」と掲げていることからも、「2020年に向けて、スポーツに強いテレビ局であることや『夏のスポーツはTBS』と印象づけたい」という意図がうかがえます。
その姿勢は、『ビビット』を中心に情報番組やワイドショーでも、連日たっぷり放送するなど、他局の扱いと比べれば一目瞭然。また、「2020年に向けて」という意味では、スタッフの経験値、アスリートや解説者との信頼関係、中継技術などのアップも狙っているようです。
もう1つの狙いは視聴率。2010年代に入って以降、「アジア規模の大会でも、日本人選手がメダル争いに絡むなら2桁視聴率が期待できる」という競技が増えているのです。事実、TBSがたっぷり時間を割いて放送しているのは、競泳、バドミントン、体操、陸上、柔道といった日本人選手の躍進が目立つ競技ばかり。オリンピックを大きく上回るメダルラッシュが確実視されるだけに、歓喜のシーンを見て溜飲を下げたい人にとってはうってつけの番組なのです。
さらに、スポーツフリークにとっては、来年に行われる『東京オリンピック2020』の国内選考大会を見据えられるのも魅力の1つ。『リオデジャネイロオリンピック2016』に出場した選手は現在どうなのか? その後に現れた新星はどんな選手なのか? 2019年の国内選考会と2020年のオリンピック本番の予習感覚でアジア大会を見ているようです。
◆実は前大会より縮小されていた