◆違和感を告げられたら味覚障害かも
大場氏もこう指摘する。
「『若い頃は何を食べても美味しかったが、年を取るにつれて食べ物の感動がなくなった』という人は、嗅覚障害によって味が感じられなくなっている可能性があります」
食べ残しが増えたり、食欲不振による体重減少がみられる場合も、嗅覚障害のサインかもしれないということだ。家族など周囲が気づけるポイントもある。
「一人暮らしの高齢者の場合、嗅覚障害があると生ごみが腐っているのにわからなくて雑菌が繁殖していたり、傷んだ食材の悪臭が冷蔵庫から漂ってくるケースが多い。そういう場合、息子や娘の来訪があれば気付いてもらえる。子供や周囲も“だらしないなぁ”で片付けないようにすることで早期発見につながり得る」(塩田氏)
大場氏も、早期発見には「家族など第三者の指摘」が不可欠だとする。
「妻に『最近、食欲がないのね』『ずいぶん濃い味付けを好むようになったわね』などの、“違和感”を告げられたら、嗅覚障害かもしれないという考えを持ってください」
異変を感じたら、早めに耳鼻科を受診するよう、専門家は口を揃えた。
※週刊ポスト2018年9月17日号