俳優・伊勢谷友介の実績を見てみると、ドラマでは『白洲次郎』で白洲本人、大河ドラマ『龍馬伝』では高杉晋作、『花燃ゆ』では吉田松陰、映画『利休にたずねよ』では織田信長を演じてきた。実在のモテ男、おしゃれ男をこれほど網羅している俳優はめったにいない。実業家でもあり、社会活動にも熱心だと聞けば、もうイケメンは続くよ、どこまでもということになる。これで普通の二枚目役をやったら、公私混同だ。日本語間違ってるけど。
そこで打ち出された変なオーラ俳優路線。イケメン持て余し系の大先輩、草刈正雄や阿部寛が「演技派」「個性派」、沢村一樹が「セクスィー派」へと変貌したことを思うと、伊勢谷の「ちょっとアート入ってます」という雰囲気は、彼らしく新しい。
宇佐美のおかっぱ頭を見て、画家の藤田嗣治を思い出した人も多いと思う。折しも東京では『没後50年 藤田嗣治展』が人気を集めている。おかっぱ頭ひとつにアートとイマドキ感を漂わせ、それが似合う男。独特の度合いでいけば、伊勢谷は宇佐美以上といえる。