国内

今上陛下 お言葉に見える「象徴」と「皇室の伝統」への思い

2016年8月8日のお言葉に多くの国民が共感した 読売新聞/AFLO

 今上陛下は平成を通じて何を国民に伝えたかったのか。文芸評論家の富岡幸一郎氏が30年間のお言葉をひもとく。

 * * *
 平成の御世が終わりをつげる。明治以降、日本人は太陽暦を採用し西暦をグローバルスタンダードとして用いてきた。しかしこの国の長い歴史のなかで「元号」は皇統の歴史の表徴であるとともに、人々の生活感覚に深く根ざすものとして、二十一世紀の今日に至っている。元号は「時」というものを名づけることの大切さを知覚可能にしてくれるのである。

 平成二十八年(二〇一六年)の八月八日、われわれは驚きをもってこの「時」に直面したのは記憶に新しい。今上陛下は、戦後七十年という節目を過ぎ、二年後に迎える平成三十年という「時」を見据えられて、国民一人ひとりに「象徴としてのお務め」の在り方について語られた。

 当初このお言葉は、今上陛下の高齢による生前退位の意向表明として受けとめられ、摂政を置くべきだなどとの様々な議論を呼んだが、今日改めて感受するならば、象徴天皇の在り方を問い、自らが体現されてきた「伝統の継承者」としての「国民統合の象徴」の務めを途切れさせてはならないとの主旨であったのは明らかである。生前に退位することは目的ではなく、皇室の伝統を現代において生かしていくことの一つの手段として国民に問われたのである。お言葉の最後にその思いは重ねて表明されている。

〈……憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたびわが国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのようなときにも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました〉

関連記事

トピックス

女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン