芸能

宮脇咲良専任でもIZ*ONEがTWICEを追い越せない理由

◆IZ*ONE専任発表はしたけれど……

 IZ*ONEの活動期間は、期間限定の番組企画グループとしては異例の2年半と長めに設定されています。所属メンバーは、IZ*ONEの活動終了を待って、所属事務所プロデュースの“本番”のパーマネントグループでそれぞれデビューをしなければなりません。

 第一シーズンで選抜されたI.O.Iの頃は、その人気急上昇に便乗して所属事務所が自社グループからのデビューを強行し、新曲に参加できないという“事件”も起きました。そこで、今回のIZ*ONEでの活動は、前半の一年半を「IZ*ONE専任期間」とし、その後の一年は「兼任可能」と設定されています。

 これを受けて、宮脇咲良、本田仁美、矢吹奈子ら三人のAKBメンバーは、この9月末早々と「二年半のIZ*ONE専任」を発表しました。非常に潔い決定であり、彼女たちの飛躍を期待する国内のファンからは概ね好評のようです。

 ところが、この専任のニュースと共に、K-POPファンならびっくりするような発表がされました。韓国メディアが報じるところによれば、IZ*ONEの活動開始(すなわちデビュー)は2018年10月29日からとされていますが、その約一ヶ月後、11月28日に発売されるAKBの54thシングル『NOWAYMAN』の選抜メンバーに、宮脇咲良、本田仁美、矢吹奈子の3人が入ったのです。しかも、この曲がAKB活動休止前の最後のシングル、特に宮脇咲良はセンターの大任だというではありませんか。一見美談に聞こえますが、冷静に考えればとんでもないことです。

 デビューから一ヶ月の活動期間が、『NO WAY MAN』のプロモ期間と重なっています。仮に『NO WAY MAN』の活動にあわせてIZ*ONEのデビューをズラすとしたら、最初の一年半の兼任禁止の契約は有名無実になってしまいます。せっかくの「二年半専任」の美談も台無しです。

 本来、これからの一ヶ月は、IZ*ONEのデビュー準備に費やすべき時間です。合宿でメンバーの一体感を高め、デビュー曲のトレーニング、韓国語の習得、バラエティ出演や冠ミニ番組、YouTube,ライブ配信アプリV LIVEなどのメディアで事前情報を少しでも多く世間に広め、ヒットへの伏線を敷く大事な時期のはずです。さらに、韓国語ネイティブでない日本人メンバーは、メディアに露出しても言葉の壁が存在するので、しっかりとした準備をしておかないと、韓国のファンから活動への本気度を疑われる恐れもあります。

 なぜそんな一番大事なデビュー前の準備期間を国内活動で消費してしまうのでしょうか? AKB側の今回の決定は不可解でなりません。そもそも番組内で、日本人メンバーの技量不足は何度も指摘されてきた問題です。また、AKBメンバーは日本での活動と番組出演を“兼任”して日韓を行き来する過密スケジュールだったため、トレーニングがままならず苦戦する光景が見られました。実際、宮脇咲良は体調不良で8月の握手会を欠席。今回のプデュの目玉のはずだった松井珠理奈に至っては、番組降板までしています。

 こうした「兼任活動」による支障は、ファンの間でも有名な話です。このままでは、せっかくの難関を掻い潜って選抜された三人の努力が台無しになりかねません。IZ*ONE加入の話題を日本でのビジネスに転嫁したいAKB側の思惑もわかりますが、功を焦っては、「世界的成功」どころか、デビュー即失速の悲しい結果にもなりかねません。

 諸々考え合わせていくとIZ*ONEの未来は決して、順風満帆とは言えない状況であることがわかります。そんな懸念を吹き飛ばすような活躍を期待したいところですが、このままでは、TWICEのライバルとなるには茨の道が待っていると言わざるを得ません。

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