こうした、機械でお骨を運ぶスタイルの納骨堂は、「自動搬送式」と呼ばれる。東京都内でこの5年間のうちに約5倍、30か所に増えたという。今年1月にも東京・目黒区に、9500基のお墓と38か所の参拝スペースを持つ「目黒御廟」がオープンしたばかりだ。
なぜ「自動搬送式」を選んだのか、新宿瑠璃光院の利用者に尋ねた。
「夫が亡くなった時に娘と相談して、家から電車で一本で通えるここを選びました」(調布市在住・69歳女性)
「最初は『室内のお墓なんて』と思っていました。でも、ここは内装も何もかもハイグレードで、亡くなった夫の美的センスにも合うので、喜んでくれていると思います」(世田谷区在住・85歳女性)
かつては「ベルトコンベアで運ぶなんて故人に申し訳ない」と抵抗感を持つ人が多かったが、利用者の意識は変化しているようだ。
自動搬送式の相場は80万~130万円程度。前述の目黒御廟の場合、販売価格は85万円、108万円、136万円の3タイプだ。
新宿瑠璃光院の場合、一般的なサイズの骨壺が2つ入る家族用で180万円(すでに完売)、もしくは200万円。株式会社鎌倉新書の「お墓の消費者全国実態調査」(2017年)によれば、外墓の平均購入価格は174万1000円なので価格はほぼ変わらない。
新宿瑠璃光院には500万円の「特別個室」もある。購入者専用のひときわ豪華な個室が用意された、いわば“スイートルーム”だ。外墓における青山霊園のように、富裕層にとっても「高級納骨堂こそステータス」という時代が来ているのかもしれない。
◆「一代だけのお墓」になる