ただ、八角理事長(元横綱・北勝海)は調査結果に対し、「意識改革をやっていきたい」などと話すにとどめ、白鵬への処分もない。
「結果として、白鵬が好きに振る舞える状況が生まれた。もともとモンゴル勢は、旭鷲山をトップにする白鵬派と朝青龍に近い日馬富士派に二分されていたが、日馬富士の引退で現役力士では白鵬の“一人天下”の状況です」(担当記者)
◆休場しても問題ない
白鵬は右膝の故障を理由に九州場所を休場する。
「2020年の東京五輪まで現役を続け、開会式で土俵入りを披露する“野望”のために無理しないつもりだろう。ガチンコ力士との取り組みは、土俵際でもつれて大きなケガにつながるリスクがある。今場所は、貴乃花の愛弟子である貴景勝をはじめ、序盤に対戦が見込まれる上位陣がガチンコ勢ばかり。リスクが高い状況だったことは間違いない」(若手親方)
しかも、協会側にとっても休場は悪い話ではない。
「復活の兆しが見えた日本人横綱・稀勢の里には延命してほしいし、関脇・御嶽海の大関昇進の目も残したい。白鵬や鶴竜の休場中に日本人力士が活躍したほうがいいわけです」(同前)
元貴乃花親方は田川で、元弟子たちの九州場所について、「とにかく奮闘しなけりゃいかん。暴れるぐらいにね……」と漏らした。
その眼差しは、角界が抱える“宿痾”を見据えていたのだろうか。元貴乃花親方と白鵬、土俵にいない2人の新旧大横綱の間で相撲協会は慄いている。
※週刊ポスト2018年11月23日号