国際情報

敗訴の徴用工問題、「中国からの訴訟」への波及も警戒すべき

各企業が頭を悩ませている(時事通信フォト)

 いわゆる韓国での「徴用工判決」で日本企業への賠償問題が取り沙汰されているが、これは韓国に留まる話ではないという懸念が出てきている。

 見逃せないのが、中国での元徴用工訴訟への波及だ。外交評論家の加瀬英明氏が警鐘を鳴らす。

「韓国の徴用工判決は、過去、お詫びを多用してきた日本政府の対応の結果です。その意味では中国も同じ。中国でも強制連行で企業への訴訟が相次いでいる。現時点では、米国との関係が悪化している中国政府は日本との関係改善に動いているから訴訟の進行を抑えているが、状況が変われば、間違いなく韓国同様の判決が出る。日本企業にとって中国への投資額や経済関係は韓国と比較にならないくらい大きいだけに、そうなるとインパクトは計り知れない」

 日本企業は中国で痛い目に遭った過去がある。

 日中戦争中に船を徴用された中国企業の経営者の親族が商船三井に「未払いの賃料を払え」と起こした訴訟で上海海事法院(裁判所)は29億円の支払いを命じる判決を出し、同裁判所は和解交渉中の2014年に商船三井の鉄鉱石運搬船を差し押さえた。慌てた同社は供託金40億円を払って差し押さえを解除するしかなかった。

 本来、中国は1972年の日中共同声明で日本に対する戦争賠償請求権を放棄し、民間企業や個人の請求権はなくなった。しかし、中国側は「戦争賠償とは関係ない商取引をめぐる訴訟だ」と主張し、それが認められた。「友は無罪」の国だけに韓国同様、外交的決着などいかようにも覆せると思う姿勢なのだ。

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン