ビジネス

日産、東電、東芝など 平成を停滞させた経営者ワースト10

企業を”私物化”したコストカッター(時事通信フォト)

 平成という時代は、日経平均3万8915円という過去最高値から始まり、バブル崩壊以降、「失われた20年」と呼ばれる長い低迷時代に入った。

 平成の「空白の20年」は日本の中間層が没落し、サラリーマンの姿を大きく変えた。「24時間戦えますか」の企業戦士は、不況の中でいつしか非正規の「ワーキングプア」となり、ついには「派遣切り」で失業者があふれた。

 では、激動の時代の日本社会を停滞させた経営者は誰か──経済評論家からエコノミストまで「経済のプロ」57人が選んだワースト10の経営者とともに、平成30年間の経済史を振り返る。

【1位】カルロス・ゴーン(64・日産自動車元会長)

「日本式経営」の優れた部分まで破壊した経営手法に対して批判的な評価が集中した。

「ゴーン氏は共生型資本主義だった日本を強欲な株主資本主義モデルに作り替える尖兵になった。結果は日産の空洞化と中国合弁先やルノーへの技術の安売り、国内シェアの没落で、株主資本主義モデルは日本経済を慢性デフレに陥れた」(産経新聞特別記者・田村秀男氏)

「(企業再建のための)大リストラは1回のみが鉄則だが、『日産リバイバル・プラン』とリーマンショックの時に、合計で4万人強の首を切った」(経済ジャーナリスト・有森隆氏)

 コストカットしすぎて目先の利益確保に走ると、長期的には企業の体力を失わせる。日産をはじめスバル、三菱自動車工業などで相次いだ検査不正などの不祥事にはそうした背景があったと指摘する声は多い。

 さらに今回の事件は“新たな停滞”をもたらすのではないかという危惧がある。

「どんなに優秀な経営者でも、権力の座に長らく居座れば腐敗してくることを改めて示した。長年にわたってメディアで『名経営者』と称えられる存在だっただけに、事件で『強欲な』経営者像が一気に植えつけられた“反動”は、日産を停滞させる要因になり得る」(ノンフィクション作家・立石泰則氏)

【2位】勝俣恒久(78・東京電力元会長)

 福島第一原発事故当時の東京電力会長。他の旧経営陣とともに強制起訴された。

「サラリーマン経営者でしかもワンマン。事故の際の対応の拙さは、危機意識に乏しいサラリーマン経営者の典型」(前出・有森氏)

「事故は、今後も長期にわたって日本経済の足を引っ張り続けることになる。事故の予見性があったかどうかはともかく、安全神話にあぐらをかき、対策を怠った責任は重大だろう」(経済ジャーナリスト・磯山友幸氏)

 とくに厳しい評価が集まったのは、勝俣氏が公判で、「社長は万能ではない」などと責任を否定するような姿勢をとっていることだ。

「事故当時の東電経営陣全員に言えることだが、経営責任をとらない、感じない経営者はそれだけで経営者失格だと言わざるを得ない。経済は沈滞し、巨額の税金が投入された」(前出・立石氏)

関連記事

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン