国内

検診や検査、医師たちの間で釣り堀と揶揄され意味ないものも

人間ドックや検診の専門病院では他院のアルバイトや専門外の医師による診察が多いという(写真/PIXTA)

 平成最後のお正月を、どう迎えただろうか。帰省先でおせちを囲み、親戚一同が顔を揃えての宴席、という人も多いだろう。そんな中、突き出たお腹を撫でながら口火を切ったのは、お屠蘇ですっかり顔を赤くした本家のおじさん。

「参ったよ、メタボ検診に引っかかっちゃってさ~」

 それを聞くやいなや、あちこちから声が上がる。

「いや~、オレも尿酸値が高かったから数の子はちょっと控えなきゃな」「血圧が高めって言われちゃったから、好物の田作りをがまんしてるの」「検診でコレステロールが引っかかったから、ビールじゃなくてウーロン茶にするわ」…。

 今年も日本各地で繰り広げられたはずの“不健康自慢”は、ある程度の年齢を重ねた人なら“鉄板ネタ”ともいえる。

 だが一方で、一見他愛のないこんな会話を聞き、ハッとした人も少なくないはずだ。若い有名人が相次いで病気で他界したこともあり、積極的に健康診断を受けようという機運が高まっているが、長い間受診していない女性も少なからずいるからだ。

 特に女性は、専業主婦やパートで働く場合が多く、職場の集団検診など半ば強制的に受診を促される機会があまりない。そのため、女性の受診率は高いとはいえないのが現実なのだ。

 実際の受診率にも、それが表れている。企業の健康保険や国民健康保険で実施を義務付けられている「特定健診」。

 40才から74才の人が受診するこの検診の受診率は、全体で50.1%(2015年、厚生労働省調べ。以下同)だが、女性のそれは45.3%にとどまるという結果が出ている。特に50~54才は差が大きく、男性は63.3%が受診しているところ、女性は過半数割れの48.1%しか受けていない。

 とはいえ、検診・検査はやたらに受ければいいというものではない。賢く受けなければ意味がないどころか、かえって体に悪影響を与えることさえあると、多くの専門家が警鐘を鳴らしている。

 医療ジャーナリストの村上和巳さんは、こう話す。

「検診・検査を受ける医療機関によっては、病気とまではいえない状態なのに“異常”と指摘され、要らぬ不安をあおられたりすることもあります。また、本来ならば必要ない精密検査や投薬を受けることになって高額な医療費がかかったりすることも、ままあること。つまり、間違った方法で検診・検査を受けると、本来の目的である病気の予防・早期発見ができないどころか、健康や時間、お金まで失いかねないのです」(村上さん)

 悪質な医療機関では、何も知らない素人の不安をあおり、“商売”に結び付けるところもあるという。医師たちの間では「釣り堀」とさえ揶揄される検診・検査の世界には多くの“罠”が隠されている。

 それらを飛び越え、賢く正しく検診・検査を受けるためには、何を知っておくべきなのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン