国内

遅れてきた地方の半グレ 東京からのUターン組が跳梁跋扈か

地方の繁華街を我が物顔で跋扈し始めた半グレ

 数年前から、他拠点居住や地方移住が高齢者だけでなく若者の間でも話題だ。技術や知識を身につけた人たちが、都市部から地方へと広がっていくのは喜ばしいことだ。ところが、”半グレ”というありがたくない特殊技能を地方へ持ち帰る迷惑な流れがいま起きている。ライターの森鷹久氏が、取り締まりが厳しくなり都会にいられなくなったUターン半グレに混乱させられている地方の苦悩についてレポートする。

 * * *
「アッチで偉くなって帰ってくるならまだしも…。とんでもなか連中さ!」
「私たちを田舎者と思って舐めてるんでしょう。実際に警察も手出しが出来ん」

 九州北部某市の居酒屋でこう捲したてるのは、地元A商店街の幹部を務める正木太郎さん(仮名・60代)と、同じくA商店街でスナックを経営する水田洋子さん(仮名・50代)だ。2018年もいよいよ終わり、最後くらい穏やかに飲めばいいものの、彼らはいったい何に怒っているのか。

 遡ることちょうど一年前。

 水田さんの経営するスナックで、常連のXさんが二~三名の若者客に殴られるという“トラブル”が起きた。連絡を受け、水田さんが駆け付けると、顔を腫らした、血だらけのXさんが横たわっていた。

「若い子たちは18~20歳くらいの金髪、いかにも“不良”って感じで店の中にまだいたんです。すぐに警察を呼ぼうってことになったけど、Xさんが勘弁してくれ、と」(水田さん)

 実はこの常連客のXさん、元々は地元の暴力団に所属し、地元の祭りや商店街の催しなどを取り仕切るような立場にいた人物であった。昔風にいうところの「田舎のヤクザモン」であり、今ほど暴力団に対する風当たりが厳しくなかった時代背景もあってか、Xさんの顔は広く、だれもが「〇〇組のXさん」と慕い、また畏れた。

 そんなバックグラウンドを持つXさんだからこそ、数人の子供に袋叩きにされ警察沙汰になるとは、プライドが許さなかったのかもしれない。この件は事件にはならず、知る人ぞ知る「酒場のトラブル」として忘れ去られるかに思われたが、間もなく、同様のトラブルが起きたのである。

「また同じ連中が別の居酒屋で客を殴ったんです。今度の被害者は、地元の土建屋の社長さんですね。コッチ(暴力団)ではなかですが、彼らとは付き合いもあるし、地元では有力者です。さすがに気が付きましたね。ああ、こいつら“そういう人”ばっかり狙いよるな、と」(正木さん)

 正木さんの読みどおり、“そういう人”たちを繁華街から暴力で追い出して、指定暴力団なら法律や条令で禁止されていること、たとえば、みかじめ料の徴収などを始めた。

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン