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2019.01.26 07:00  週刊ポスト

イラクの焼け跡に咲くたんぽぽが希望を託される理由

 ぼくが代表をしているNPO日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)は、イラク戦争に反対し、小児がんの子どもたちの医療支援をしてきた。ISが台頭してからは、シリア難民やイラク国内避難民への支援が急務となり、難民キャンプなどへの医療支援をするようになった。シンジャール山周辺には、外国人として初めて救援に入り、ミルクやおむつなどの救援物資を届けに行った。

 こうした活動のなかで、ISに拉致された女性にも直接会うことができた。彼女は一家全員がISに捕まった。母親は解放されたが、父親と4人の兄弟姉妹はまだ帰って来ていない。

 彼女自身は、35歳のIS戦闘員に「結婚」を強制された。拒むと殴られ、レイプされた。3か月後、25歳の戦闘員に「転売」された。このときも抵抗したが、木の棒で殴られ、前歯が欠けた。

 あまりにもひどい扱いに同情した人が、逃げるチャンスをくれた。5日間歩いて、クルド自治政府軍ペシュメルガに保護されたという。

 ぼくたちJIM-NETは、こうした女性を病院に連れていったり、別のNGOの精神的ケアのプログラムに参加させたりする支援をしてきた。

 今後は、被害女性がコミュニティーのなかで生きていけるようにすることが課題だ。というのも、ヤジディ教は、結婚するまで性交渉を禁じている。「ISから逃れたとしても、元の地域や家族には、受け入れてもらえないのではないか」という思いが、被害女性を苦しめているのだ。

 ISの考えの下で育てられた子どもたちの問題もある。

 アルビルの難民キャンプで、2歳の女の子をISにさらわれたという女性に会った。目が落ちくぼみ、やつれた姿は、まだ40代なのに老婆に見えた。その女性の子どもが3年後、ISから解放され、彼女の元に戻ってきた。うれしいニュースだ。しかし、5歳になったクリスティーナちゃんは、イスラム教徒として育ち、クルドの言葉が話せない。母と子はゼロから絆をつくっていかなければならないのだ。

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