『裁判中毒』の著者で傍聴歴36年のジャーナリスト・今井亮一氏もこう語る。
「例えば万引き事件で現行犯逮捕された被告人の場合、犯行を現認して逮捕した警備員や保安員が証人として出廷することがありますが、その証言は臨場感に溢れていて、『テレビで見た万引きGメンの逮捕シーンと同じだ!』と思わず興奮してしまうことがあります。
法廷は事件現場を克明に再現する場なので、事件そのものに立ち会ったような感覚になれることも珍しくありません」
傍聴に慣れると、「民事裁判」を選んだり、「高等裁判所」「簡易裁判所」を訪れる人もいる。
「地方裁判所は各都道府県の県庁所在地を含めて全国に計50か所あり、203の支部も設けられています。ただし、地方の地裁では裁判数が少なく、せっかく行ったのに裁判がひとつも行なわれない日もある。事前に地裁に電話をかけて尋ねておくといい。
民事だと、離婚や相続など近親者同士の係争が多い。刑事とは違って、情や欲が交錯する“ホームドラマ”が見られるかもしれません」(今井氏)
事実は小説より奇なり。法廷はその言葉を具現化している場所である。
※週刊ポスト2019年2月8日号