さらに主要産地がロシア、南アフリカに限られ、貴重なレアメタルとして投機筋の注目を集める。マネーゲームの対象となったパラジウム相場は、乱高下を繰り返して上昇。今年に入って「金地金(きんじがね・インゴット)」を抜いて、6000円/g台になった。
パラジウムの急激な値上がりによって、今や銀歯に使う「金パラ」も貴金属として扱われている。
患者から外した銀歯を業者に売却、相当の利益を得ている歯科医もいる。使用済み銀歯は精製され、再生金属として再び歯科治療に使用されるのだ。前出の歯科技工士は、こんなことも教えてくれた。
「(金パラの)銀歯の内面を削って作るように歯科医院から要求されています。少しでも金属の量を減らすためです」
薄くなった「銀歯」の耐久性が落ちることは容易に想像できる。「金パラ」の急騰が歯科医院の死活問題になっているのは制度的な欠陥も影響していた──。
◆治せば治すほど赤字
現在、「金パラ」の診療報酬は、「1458円/g」となっている。この問題に詳しい福岡県歯科保険医協会の浦川修・副会長によると、歯科医院が購入する「金パラ」の実勢価格は消費税を含めると「約1900円/g」だという。
つまり、「金パラ」1gあたり「442円」の逆ザヤ=赤字が発生することになる。実際の治療に置き換えてみよう。