国内

皇太子さまのライフワーク、水問題「知らないのは日本人だけ」

2015年11月、米ニューヨークで行われた国連「水と衛生に関する諮問委員会」の閉会式(時事通信フォト)

 平成も残すところあとわずかとなり、令和の時代がすぐそこに迫ってきた。父である天皇陛下から時代を受け継ぐ徳仁皇太子殿下の胸中には、今、どのような思いが秘められているだろうか──。

 ご家庭や公務と並行して、皇太子さまがライフワークとして学生時代から研究を続けているのが「水問題」だ。

 皇太子さまの研究の相談相手でもあり、元建設省河川局長の尾田栄章さんはこう語る。

「古来、人類は水を求めて世界を移動してきました。水は大切な資源である一方、災害や貧困、さらに紛争をもたらすものでもあります。皇太子殿下のご研究では、そうした人間と水の関係を地球規模でとらえて、限られた水をどう利用していくかを考察されているのです」

 留学時代に水運について学ばれた皇太子さまは、1987年に訪問されたネパールで、水くみ場の前に列をなす女性と子供の姿を見て、水の問題を痛感された。

 以降、2003年に京都市などで開催された「第3回世界水フォーラム」で名誉総裁に就任し、2007年から2015年まで国連の「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁を務めた。

 現在では世界中の専門家が皇太子さまの研究に耳を傾け、「水問題における殿下の高い評価を知らないのは日本人だけだ」ともいわれている。皇太子さまの熱意には尾田さんも舌を巻く。

「古代より日本の皇室は自然災害に対する意識を高くお持ちですが、皇太子殿下は水問題を通じて文明や人間の在り方に深く考えを巡らされています。さらに、講演をされる時は、聴衆の興味をかき立てる工夫を凝らされます。単なる専門家にはできない、実にユニークで素晴らしい講演をされるのです」(尾田さん)

 例えば、昨年2月の学習院女子大学での講演では、古代ローマの風呂文化を題材にした漫画『テルマエ・ロマエ』を持ち出し、地中海世界では貴重な水を潤沢に使う古代ローマの生活ぶりを紹介して聴衆の興味を引かれた。

 皇太子さまには、「包容力で相手を惚れさせる」独特の魅力があると尾田さんは言う。

「まさに水の流れのように柔らかな雰囲気をまとったお方です。普段は寡黙なエジプトの水資源・灌漑大臣も、殿下にお会いすると話が弾み、後に大臣本人が“なぜあんなにしゃべったんだろう”と不思議がるほどです(笑い)」

 即位後も、皇太子さまは水問題に積極的に取り組む意向だという。

「水問題にひときわ関心の高い皇太子さまは、即位後、水問題を通じて自然環境の問題に取り組まれるはずです。この取り組みは新天皇・新皇后のカラーが出るご活動になるでしょう。昨年の『国際水協会世界会議』への雅子さまのサプライズ出席は、その布石だったのかもしれません」(皇室記者)

 平和への祈りを国民に寄り添う行動で示した天皇陛下のお気持ちを引き継ぎながら、皇太子さまは、グローバリズムの風を取り入れた新しい天皇になられるのではないだろうか。

 まもなく、令和の時代が始まろうとしている。

※女性セブン2019年4月25日号

トピックス

小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン