製造元のミズノに問い合わせると、「弊社はボールを供給している立場であり、お答えする立場にありません」(広報担当者)とするのみで、複数の球団スタッフに取材しても、「ボールの仕様、製作、保管方法など、昨年のボールと同じ品質のはずですが……」という答えしか返ってこない。
その一方で、バットでもボールでもなく、打ち方が「飛ぶボール」を産んでいるとの指摘もある。前出・広尾氏が語る。
「従来の日本でよく指導されたように“上から叩く”のではなく、あえて“フライを狙う”ことで、ホームランが出やすい角度で打球を打ち出す『フライボール革命』という打撃理論です。2017年にアストロズが導入し、ワールドシリーズ制覇に繋がったと言われ、近年のMLBでは主流の考え方になっています。
この理論では、手元までボールを引きつけて逆方向に打つよう指導される。フライボール革命が日本に広まったことも、ホームラン量産につながっているのではないか。そして、実際にホームランが出るから、さらにホームラン狙いのスイングに拍車がかかり、ボールがスタンドまでかっ飛んでいく」
この春の珍事の理由は果たして「ラッキーゾーン化」なのか、「飛ぶボール」なのか、「フライボール革命」なのか……。シーズン最後の結果が見ものである。
※週刊ポスト2019年4月26日号