若林は芸歴を重ねるごとに“人見知り”キャラを薄めていった。いつの間にか、真逆の“人たらし”キャラへと転向。今となっては堂々たる人気司会者になっている。つまり、上手に“やってんなぁ”と思った。
以上が気になった理由である。しかし、春日の結婚を祝して号泣する若林を見て、そんなことどーでもよくなった。
結局、オードリーが好き。
ここ数週間、久々に2人が出演する番組をディグる日々を送る。「やっぱ面白いな」と腹を抱えるなかで、中京テレビで放送されてきた『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。(通称:オドぜひ)』が4月から全国放送となっていたことを知った。
今まで、中京テレビが提供するアプリ『Chuun』で配信されるダイジェスト版でガマンしていた身。『オドぜひ』が気軽に観られるようになるとは嬉しい限り!
『オドぜひ』は視聴者参加型の番組である。投稿者から寄せられる「オードリーの2人と会わせたら面白いと思う人」というクチコミから春日、若林が気になったモノを選ぶ。スタジオに招かれた投稿者は2人とトークセッション。司会者が自ら選んだ素人をもてなす稀有な番組だと云える。
しかし、素人といっても集まるのは市井の変人達。子供を除いて、普通の人はまずいない。クチコミの内容も「ニートなので彼氏と話すネタがない(25歳・女性)」「童貞だということをカミングアウトしたい(23歳・男性)」「自己流のモテテクを見て欲しい(15歳・女性)」と個性豊か。そして、そんな変人達は総じてオードリーの大ファンである。
タレントとファンの交流会といった様相を見せる『オドぜひ』。南沢奈央との交際を知った上で若林にアプローチをかけにきたガチ恋勢もいた。内容はとことん私的だ。
情報バラエティばかりが増えた昨今、観ても役立たない珍しい番組でもある。クチコミを軸にトークは展開されるが、結局どこまでいっても雑談。オードリーと素人がたわいのない話をするだけ。しかし、こんなところが素晴らしい。元来、雑談とは贅沢な遊戯。余裕が無ければ成立しない。会話をする相手選びも重要、つまらない人と話し続けるのは苦痛でしかない。
2012年に番組がスタートしてから7年、オードリーは素人との雑談に付き合い続けている。「飽きないのか?」とお考えになる方もいるだろう。しかし、番組を観続けていると分かってくる。本当の面白さを持っているのは素人だということを!
番組には「ぜひらー」と呼ばれる常連もいる。しかし、そのほとんどが1回限りの出演だ。素人は憧れのオードリーに自身の人生で獲得したベストネタを一球入魂。産地直送、天然物とも言えるネタが提供する。“面白い”という答えを逆算して番組が作られていくバラエティとは真逆の産物。『オドぜひ』はスタッフの手で過剰な演出される養殖的要素が少ない。